広島アスリートマガジン

カープ・サンフレッチェの情報が満載の広島アスリートマガジン

広島アスリートアプリ連載コラム! 二宮清純[追球カープ]

 

《4番の心得》

 

“ミスター・タイガース”と呼ばれた現阪神2軍監督・掛布雅之はカープ戦に滅法強かったイメージがある。

カープがピンチの場面で彼に打席が回ってくると「また、今日もやられた」と内心、諦めたものだ。

ホームラン王3回、打点王に1回輝く掛布だが、元々は中距離ヒッターだった。

タイトルを獲るとすれば首位打者だとばかり思っていた。それも2度、3度と。

 

古い記憶で恐縮だが、40年近く前の「週刊ベースボール」にて掛布の父親と高橋慶彦の父親による誌上対談が実現した。

当時の掛布は押しも押されもしない阪神の3番打者、一方の高橋はカープの売り出し中のリードオフマンだった。

その対談の中で、高橋の父が掛布を持ち上げた。「そろそろ首位打者ですな」みたいなことを言ったのだ。

すると、掛布の父は「いや、お宅の息子さんの方が有力でしょう」と切り返した。

結局、2人とも首位打者は獲れなかったのだが……。

 

掛布にとっての転機は78年オフにやってきた。

不動の4番・田淵幸一が西武にトレードされたのだ。

掛布によれば、「田淵さんがいる間は、金魚のフンみたいに田淵さんの近くでチョロチョロしていればよかった。

それが(田淵さんがいなくなったことで)虎の親玉として相手に立ち向かわなければならなくなった」。

親玉である以上はホームランが求められる。

中距離砲から長距離砲への転身は自らが望んだものではなく、チーム事情によるものだった。

 

掛布は語ったものだ。「田淵さんがいるうちに“4番の心得”を聞いておけばよかった」

昨季、セ・リーグのMVPには39歳の新井貴浩が選ばれた。

セ・リーグ史上最年長というオマケ付きだった。

 

しかし、チームリーダーの新井も1月30日には不惑を迎える。

新井の跡目を継ぐとしたら昨季、打率3割3分5厘、29本塁打、95打点のキャリアハイを記録した鈴木誠也だろう。

カープの将来のことを考え、新井は今のうちに「4番の心得」を鈴木に伝授しておいて欲しい。

いなくなってからでは遅いのだ。

 

 

アプリのダウンロードは☞ ココから

 

2017年1月9日 広島アスリートアプリ掲載