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広島アスリートアプリ連載コラム

連載コラム 二宮清純[追球カープ]

 

《驚異の動体視力》

 

昨年、教育現場で話題になったニュースがある。学校保健統計調査において、裸眼での視力「1.0未満」の割合が小中高ともに過去最悪となったのだ。

 

調査によると小学校が31.46%、中学校で54.63%、高校が65.98%と全てで過去最高を記録したのだ。

 

悪化の原因は何か。多くの専門家が、その理由としてあげるのがパソコンやスマホによる長時間の目の酷使だ。ある専門医は「スマホやゲームは1時間したら10分は目を休めるのが基本だが、それをやらない子供たちがほとんど」と警告を発している。

 

「昔はキャンプ地で、休みの前になると飲み屋に繰り出す者が多かったが、今は少ない。それ自体悪いことではないのだが、部屋にこもってスマホでLINEやゲームばかりしている。視力が悪くならないか心配だよ」。カープのコーチ経験者から、そんな話を聞いた。

 

言われてみれば確かにそのとおり。昔の選手はよく飲み、よく遊び、よく練習した。その典型が衣笠祥雄や高橋慶彦である。

 

ところが、最近、そういうヤンチャな選手が少なくなった。これは野球選手に限らず言えることだが、最近の若者は真面目でおとなしい。キャンプ地でも夜遅くまで飲み歩いている姿には、ほとんどお目にかかれない。

 

それはいいとして、ひとりでLINEやゲームばかりやっていたら、ボールを投げたり打ったりする上で一番大切な視力が劣化してしまう。古田敦也のように近視でもプロで成功した例はあるが、好き好んで視力を悪化させる必要はないだろう。

 

締めくくりにメジャーリーグ最後の4割打者、テッド・ウィリアムズにまつわる逸話を紹介しよう。

 

ウィリアムズがセネタースの監督をしていた時のことだ。余興としてバットの胴の部分に松ヤニを塗って打席に入った。

 

若い投手が投じたボールをウィリアムズはセンターに打ち返した。直後、54歳はボールの縫い目の部分に松ヤニが付いているはずだと言い切った。戻ってきたボールを見て、皆唖然とした。ウィリアムズの指摘どおりだったからである。生涯打率3割4分4厘は「驚異の動体視力」がもたらしたものだった。

 

 

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2017年1月16日 広島アスリートアプリ掲載

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