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 いよいよセ・リーグ開幕。この時点でカープの開幕投手はマーティの頭の中には描かれている。開幕試合には、エースと呼ばれるピッチャーが先発する。その「開幕投手」に指名されることは大変名誉なことである。が、黒田が抜けた今年、開幕投手やエースにふさわしいピッチャーの顔が皆さんの頭の中に浮かんでいるだろうか? (エース不在という話ではないのでご安心を!)
 
今年の沖縄キャンプは雨が多かった。毎年開催されている少年野球教室も雨の影響で、野球場に隣接する体育館の中で行われた。カープの選手たちがポジション別 に、ゴロの捕り方、バットスイング、そしてピッチングなど、技術論だけでなく、野球に対する考え方や、楽しさとともに指導していった。最後に子供たちから選手への質問コーナーが設けられ、ある少年が質問した。「カープのエースは誰ですか?」去年までなら即答できる質問も、今年ばかりはいささか勝手が違った。質問された選手達は返答に窮した。テレビ的には『…。』のスーパーが画面 に出そうな場面。最後に答えさせられたルーキーの小窪選手の「(答えは)無理です」。の一言で笑いの内にもみ消された。
  20数年前、私が小学生の頃、カープの絶対的なエースは北別 府さんだった。ファミスタでは、必ず「きたへふ(北別府)」を使った。それはそれは物凄いシュートを投げた(ゲーム上)ものだった。投手王国と形容された当時のカープは山根、大野、川口、川端、長冨、白武、津田など、そうそうたるメンバーが顔をそろえていた。これだけのピッチャーがそろえば強くない訳がない。優勝した年には、近所(三次市内)のショッピングセンターのソフトクリームが10円になった。子供ごころにカープを応援したら良いことがあると確信。それ以降カープファンを貫いている。
  話を現在に戻そう。今年はブラウン体制勝負の3年目。キャンプから様々な変化を加え今シーズンに挑む。これまで廃止されてきた野手の夜間練習も復活。投手陣には毎晩ミーティングが課せられた。昨シーズン12球団ワーストの被ホームラン数172。防御率も4.22と12球団中11位 の成績だった。その現状を打破するための解決策として、ピッチャー・キャッチャー、そしてコーチが参加し相手打線のビデオを研究。攻め方を分析しシーズン中のピッチングに活かそうというものだ。さらにこれまで制限されてきた投球練習の球数も、意味ある投球ならと制限は撤廃された。これまで2桁の投球練習しか許されず、不完全燃焼でシーズンに臨んだ投手陣も、納得いくまで肩を作れるようになった。
  練習量の増減、その功罪は現時点では分からないが、日本流が体に染み込んでいる選手たちの不安は少なからず解消されるはずだ。
  黒田が抜けた今年、ルイス・コズロースキー・シュルツと3人の外国人投手を補強。ルーキーの篠田、高卒2年目の前田健、さらには新戦力に負けまいと宮崎・青木高もその刃を研いでいる。
  エースは誰かわからない…。そんな状況の中、大竹・長谷川だけではなく、先発候補のピッチャーたちはその座を虎視眈々と狙っている。互いのプライドをかけ、上へ上へと切磋琢磨する投手陣。いい意味で今のカープは「蓋」が取れた状態である。黒田という大きな「蓋」が取れたことで、投手陣は競争の荒波にもまれている。少年の質問に答えを出せなかった選手たちは、決して「エース不在」と思っていた訳ではない。チームの状況を誰よりも理解しているからこそ答えなかったのだ。エースは誰かと決めてしまう前に、大事なことがある。「投手陣の競争」その相乗効果 こそ、今シーズン浮上のきっかけになることを信じてやまない。



PROFILE/早川 正浩
1972年 広島県三次市出身。
プロ野球中継や、「北斗晶の鬼嫁運動記者倶楽部」などを担当。
高校野球経験者として、スポーツ部内では偉そうな顔をしているが、たいした成績ではなかったらしい。

広島ホームテレビ『北斗晶の鬼嫁運動記者倶楽部』
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